本文へスキップ

『週刊報道サイト』がwebで生まれ変わりました

詳細記事HEADLINE

    

「戦後半世紀、今もうごめく“妖怪”――M資金、ワナ巧妙に」(26/11/11)

「戦後半世紀、今もうごめく“妖怪”――M資金、ワナ巧妙に(けいざい今昔物語)」
(1994/09/18 日本経済新聞朝刊)

 第二次世界大戦が終わって半世紀。

 いまだに、巨額の裏資金を長期、低利で企業に融資すると称して、手数料などを詐取するM資金の妖怪(ようかい)が徘徊(はいかい)している。

 「日本基幹産業育成資金」「地球環境保護基金」など裏資金の名目は時代とともに変わってきた。

 しかし、詐欺グループの手の込んだ仕掛けに、ひっかかってしまう大企業経営者は後を絶たない。

 論説委員 竹居照芳 業績不振にあえぐ一部上場の機械メーカー。

 元社長の息子でもある常務に、取引銀行の融資担当課長が耳寄りな話を持ってきた。

 「ユダヤ系の巨大財閥、ロスチャイルド家には内々の資金があり、それを日本の製造業に融資したいと言っている。

 運用資金は何兆円もあり、必要なら何千億円でも貸すという」。

 銀行から持ち込まれた話とあって、常務はすっかり乗り気になり、相手と会った。

 外国人と日本人とが現れた。

 ロスチャイルドの代表と称する外国人は「内密の話だから」と名前も名乗らなかった。

  常務は周囲とも相談した。その結果、話の真偽を確かめるため、まず、ある程度まとまったカネをこちらの銀行口座に振り込むよう要求した。

 相手はいろいろ文句を言ってきたが、そのうち連絡が絶えた。

  平成不況の長期化とともに、こうした巨額の裏資金融資の話をもちかけるグループが多数暗躍している。

 詐欺の疑いで検挙されたのはごく一部だ。

 例えば、今年の五月に逮捕されたグループの場合は――。

 「日本の基幹産業を育成するため、二百兆円の秘密資金が大蔵省に保管されている。

 そこから無利息で六十億円を融資しましょう。

 ただ、金額の三%の印紙税が要るので、一億円は私が出すから、残り八千万円を払ってほしい」。

 こうもちかけて、七十億円が入金されたように印字された預金通帳を示した。こうして二回にわたり、中小企業経営者から計一億四千万円をだましとったという。

 大企業のトップにたずねると、実に多くの人が裏資金の話をもちかけられたことがあると答える。

 徘徊する連中が多いということで、一説には数万人といわれる。警察庁が昨年五月以降に相談ないし報告を受けた分だけで約四十件にのぼる。

 裏資金の話の大半は冷静な目で見れば、荒唐無稽(こうとうむけい)で、経営者は相手にもしない。

  例えば、ある重化学工業のトップの自宅に手紙が来て「ぜひ、お会いしたい」と申し入れてきた。

 「一般には公表されていないが、財政規約第四四条に基づき、大蔵省の高官が管轄し、運用する日本基幹産業育成資金がある。

 毎年、優良な基幹産業に資金を提供しており、今年は貴社に決定した」と。

  手紙によると、提供する資金は総額二十兆円。

 うち企業育成資金として十四兆円、個人として二兆円使ってもいいが、残る四兆円は定期預金にしてもらうという内容だった。

 最近、都銀のトップに手紙や電話でしつこくアプローチしているグループの場合は「各国中央銀行がひそかにプールしている“G7マネー”を十兆円預金したい」と申し入れているという。
 
  巧みに仕組まれた話もある。このため、途中でインチキに気付いたとしても、すでに融資申込書、念書や、印鑑登録証明書、パスポートの写しなどを詐欺グループに渡してしまっている例がたくさんある。

 それらは裏の世界に出回る。会社をゆするネタになったり、別の詐欺話で「この会社のトップも申し込んでいる」と信用させる小道具に使われたりしている。

 過去に摘発された詐欺事件の代表は十年前に検挙された青柳ハツのグループ。

 三兆八千億円にのぼる架空の国債還付金の受領を名目に、各地の百九十二人から総額二十五億八千万円をだましとった。

 その後も、同グループが巧みに偽造した還付金残高確認証などを使って詐欺を働こうとした残党が検挙された。

 近年、この証書を利用した詐欺事件が海外で十件近く起きている。今年は米国、スイスで発覚している。

 警察庁や大蔵省はこれまで二度も、国際刑事警察機構を通じての手配や在外公館を通じての注意喚起をしたほどである。

  M資金の話の起源は定かではない。

 「M」は日本占領下、GHQ(連合国軍総司令部)の経済科学局長だったマーカット少将のイニシアルだという。マッカーサーのMだという説などもある。

 最も流布した説はこうだ。

 戦時中、政府が国民から買い上げたダイヤモンドなどや、軍部が占領地で略奪し持ち帰った貴金属などが、戦後すぐに占領軍によって接収された。

 その一部を日本の戦後復興に充てる秘密資金にしたという。

  戦争直後、大蔵省の終戦連絡部長、渉外部長などとしてGHQとの折衝に当たった渡辺武氏は「マーカットは高射砲の軍人で、経済のことは全くわからない人だった。

 M資金は存在しないと思う」と言う。

 「のちに米国で会った時、何かいい仕事はないかと頼んできた。

 彼が亡くなった時もさみしい葬式だった」とも語る。

 M資金のうわさは朝鮮戦争後の一九五五年前後から政財界の一部でささやかれ始めた。

 戦争中や戦後の混乱期が材料なため話がもっともらしく、今でも実在すると思い込んでいる人がいる。

 詐欺に使われる資金源の名称は時代が下るにつれ、M資金からガリオア・エロア資金、オイルダラー、フリーメーソンの資金、ユダヤの資金等々、次から次へと新顔が登場する。

  過去に裏資金の話に乗せられ、かかわった経営者がいるとうわさされた企業は枚挙にいとまがない。

 以前には、関西の私立大学がだまされ、講堂の建設工事の契約までしたことがある。自治体がひっかかった例もある。

 たとえ、だまされても、ほとんどが外聞を気にして当事者も会社も否定する。犯罪にならない段階で話を打ち切る場合が大半だからでもある。

 よほどの被害でない限り、警察に届けも出ない。実際には、念書の回収などのため会社がひそかにカネを出している例もあるようだ。

 M資金の詐欺話が広く世間の目に触れたのは、ロッキード事件で注目を集めた全日本空輸の大庭哲夫社長がひっかかったケースである。

  六九年、二人の自民党議員の紹介状を持った鈴木明良元自民党代議士が大蔵省特殊資金運用委員会の委員と称し、三千億円の長期低利融資の話を持ち込んだ。

 これに応じ、大庭氏は融資申込書と念書とを渡した。

 それが暴露されたため、責任を問われて退任に追い込まれた。

  七九年には、元大蔵省事務次官の長男を含む詐欺グループが、特種製紙の小山幸隆社長に、スイス銀行の秘密資金から「グリーン資金」を一千億円融資するという話を持ちかけ、運動費として額面合計十一億円の約束手形を詐取した。

 一味は逮捕され、小山社長も引責辞任した。

 「大蔵次官のころ、省の先輩などが何人も訪ねてきてM資金について聞かれた。うそですよと否定すると、さすがに口が堅いと余計信じてしまったりしてね」(谷村裕資本市場振興財団顧問)。

 経営者がひっかかった事例をみるといくつか共通する点がある。

 第一に、話がもっともらしい筋立てになっている。

 戦後の一時期、洋画を輸入しても、その代金の送金が認められず積み立てられた時期がある。

 この特別円を、用途を限定して国内で使ってもいいことになったからどうか、という勧誘もそのたぐいである。

 第二に、政治家の紹介とか、官僚OB、弁護士、企業幹部など社会的地位の高い人を通じてM資金の話が持ち込まれることが多い。

 彼ら自身、ほとんどM資金の話を真に受けている。

 第三に、一流ホテルなどを長期に借り切り、旧華族、官僚、銀行トップなどの偽者が次々に登場することが多い。

 時には、本物までが事情をよく知らないまま一味に利用され、詐欺の仕掛けに一役買わされることもある。

 偽の預金証書などさまざまな小道具も使われる。

 第四に、「あなただけに特別にお話している。あなたが決断して下さい。他の人にもらしたら、この話はないことにします」などと言って、社内で相談させないようにするケースが多い。

 こう言われると、自分が会社の救世主のような気分になり、深みにはまりやすい。

 八〇年代初めぐらいまでは、企業は資金不足だったので、銀行以外のルートからの有利な融資という話に乗りやすかった。

 財務担当者がひっかかったこともあった。

 近年、ひっかかるタイプは、第一に天下りや二世経営者、それに東大卒など若いころからエリートでさして苦労もしないまま出世した人である。

 彼らはビジネスの裏にうとく、すぐ人を信じてしまう傾向がある。 第二に、出世願望や事業欲の強い野心家である。

 あるメーカーの場合、業績不振から自分の手で脱却すれば、社長になれるのではないかといった野心に付け込まれた。

 詐欺グループは狙った相手の心理を実によく読んでいる。 欧米ではおとり捜査が認められているので、警察はM資金のような話が本当かうそか、すぐ確かめることができる。

 日本ではおとり捜査はできないうえ、被害届が少ないから、なかなか捜査に乗り出せない。

 M資金の妖怪がいつまでも徘徊するのは、そのせいでもある。

 M資金とは 表に出ない巨額のアングラマネーがあって、それを低利融資するとか預金するとかいって、企業や経営者などから運動資金、手数料などの名目でカネをだましとる詐欺話の総称。

 カネを取られないまでも、証書類を渡してしまい、悪用されるケースもある。

 最近のアングラマネーの主な口実 (警察庁による)

 (1)日本基幹産業育成資金 
 (2)政府開発援助資金 
 (3)世界救済基金 
 (4)地球環境保護基金
 (5)マルタ騎士団国マネー 
 (6)G7マネー    
 (7)戦後、米軍が天皇家から没収した財産
 (8)大蔵大臣が裏資金として貯えた資金 
 (9)アラブ石油マネー                                            


 
林信秀(57才)頭取  旧富士銀行派閥  東京大学経済学部卒

 2014年3月28日に株主代表訴訟が提訴されました。林信秀頭取は、国際畑を歩み、国内での裏金作りスキームに一切タッチしていなかったので、消去法で頭取に選ばれたと推察いたします。何も知らないことは、一番強いことです。なので、この株主代表訴訟の係争を契機に、及川幹雄被告を現場責任者として行った、代々脈々と受継がれている裏金作りスキームの膿を出し切ることを望みます。

 
塚本隆史(63才)元頭取
旧第一勧業銀行派閥
京都大学法学部卒
既に辞任済
 
佐藤康博(62才)前頭取
旧日本興業銀行派閥
東京大学経済学部卒
既に辞任済
 
及川幹雄(51才)
旧第一勧業銀行派閥
日本大学法学部卒
未だ逮捕されず

及川幹雄被告からの着信履歴です。
みずほ銀行への及川幹雄被告からの伝言メッセージです。内容は「自首をする」と言ってますよ。代表佐藤昇    
 
佐藤昇(42才)
生涯無派閥
専修大学法学部卒
既にパンチドランカーでポンコツ済

会員番号

記事の全文を読むには、会員番号が必要なページがあります。
会員番号は、下記銀行口座にお振込いただくと、入金の確認ができ次第、メールで会員番号を発行いたします。


■会員登録料のお支払い
個人会員 年間登録料(ご支援金含む) 60,000円
法人会員 年間登録料(ご支援金含む) 240,000円
銀行口座へのお振込でお願いします

■お振込先
三菱東京UFJ銀行 亀戸北口支店 普通 0033595
週刊報道サイト株式会社

■お問合せ先メールアドレス
 メールアドレス info@hodotokushu.net



国立国会図書館

 週刊報道サイトは、国立国会図書館に納本され、国民共有の文化的資産として期限なく保存され続け、後世に継承されることになりました。
 詳細については9月9日記事をご参照ください。

お知らせ

内閣官房拉致問題対策本部事務局のバナーを上記に掲載し、2014年4月1日より、北朝鮮による日本人拉致問題の啓発活動を行うために、弊社独自取材による連載記事を開始しました。皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

<活動ご支援金振込先>
三菱東京UFJ銀行
亀戸北口支店 普通
 0033595
週刊報道サイト株式会社


 

2013年11月21日に第2回セミナーを開催しました。セミナーの光景はSCHEDULEをご覧ください

週刊報道サイト株式会社

【本社】

〒136-0071
東京都江東区亀戸2-42-6-304

広告

広告募集中です