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ドラム缶女性焼殺事件「死刑でチャラでいいやん」、主犯格・元死刑囚・野村哲也(2009年1月29日死刑執行)幻の手記を全文公開 その1 プロローグ 「簡単やろ。人を殺すなんて、こんなもんや……」しかし、もう後戻りはできない…………。(令和5年10月2日)

 
ドラム缶女性焼殺事件「死刑でチャラでいいやん」、主犯格・元死刑囚・野村哲也(2009年1月29日死刑執行)幻の手記を全文公開 その1 プロローグ 「簡単やろ。人を殺すなんて、こんなもんや……」しかし、もう後戻りはできない…………。(vol.1)

  <プロローグ>

「簡単やろ。人を殺すなんて、こんなもんや……」

 薄笑いを浮かべた川村幸也が、牧原(仮名)に声をかけた。そして、
「そうだよね?」
と、俺に同意を求めてきた。

 ドラム缶の炎に照らされた川村の顔は、鬼そのものに見えた。俺は無言だった。

 俺の返事を待つことなく、川村は牧原にこう言った。

「お前も、こうならんでよかったな」

 ドラム缶の中の二人のように、生きたまま焼き殺されなくてよかったな、という意味である。佐橋(仮名)は、川村と牧原の顔に目をやりながら放心しように突っ立っていた。その時、俺の顔は蒼白だったに違いない。牧原は「へへへ」と笑っていた。

 俺の頭の中では疑問と不安が交錯していた。

 なぜ川村はこんなに堂々としていられるのか?

 なぜ牧原は笑っていられるのか?

 俺がビビっていることが川村や牧原や佐橋にはバレているのではないか?

 朝が来るまでにドラム缶の中身は燃え尽きてくれるのか?

 二人を殺したことが警察にバレるのではないか?

 白井(仮名)と池原(仮名)はどうなった?

 警察に捕まったのか?

 しかし、もう後戻りはできない…………

 
ドラム缶女性焼殺事件「死刑でチャラでいいやん」、主犯格・元死刑囚・野村哲也(2009年1月29日死刑執行)幻の手記を全文公開 その1 プロローグ 「簡単やろ。人を殺すなんて、こんなもんや……」しかし、もう後戻りはできない…………。(vol.1)

 <事件の流れ>

 平成十二年四月四日、愛知県名古屋市千種区で女性二人が拉致される事件が起きた。約束手形をめぐる債権回収のトラブルがもとで、野村哲也とそのグループが、債務者である喫茶店経営者を拉致する計画を立てたのである。計画は実行されたが、債務者当人の拉致には失敗。結果、その場に居合わせた喫茶店経営者の妻と妹を拉致することになったのである。

 その後、犯行グループは二人を愛知県瀬戸市の山林へ連れてゆき、生きたままドラム缶に押し込み、ガソリンをかけて焼き殺した。

 殺人を犯したあと、彼らは死体の処理に腐心することになる。なかなか燃えきらない死体をチェーンソーで切断するなど、残忍な行為に及んだのだ。

 しかし、同年四月八日に、女性二人の遺体が発見され、同十日に野村、川村の二人が逮捕された。

 この事件に対し、名古屋地方裁判所は、野村、川村の両名に死刑判決を下し、上告審判で、最高裁判所第二小法廷は、「女性二人をドラム缶に押し込んで生きたまま焼き殺したという殺害の態様は極めて冷酷、非情かつ残虐という他ない」と理由を述べ、控訴審名古屋地方裁判所の死刑判決を支持し、被告側上告を棄却。こうして死刑が確定した。

平成十二年 四月四日
 川村幸也、野村哲也、牧原晃和(仮名)、牧原光希(仮名)、白井秀樹(仮名)、池原浩市(仮名)は共謀し、金銭・手形回収トラブルのあった喫茶店経営者夫婦と従業員を名古屋市千種区新甫町で襲撃し、背後から夫を殴打。喫茶店経営者から奪った乗用車で、妻と従業員を拉致。愛知県瀬戸市白坂町キャンプ場近くの山林で従業員の所持金、二万四千円などを強奪し、二人をドラム缶に入れ火をつけ焼殺。遺体をチェーンソーなどで切断し付近に遺棄。

平成十二年 同日
 白井秀樹、池原浩市 午前一時二十分ごろ、名古屋市千種区で深谷さんの車に乗っていたところを愛知県警が発見。強盗傷害容疑で緊急逮捕。

平成十二年 同日
 佐橋光希 正午過ぎ、事務所にいたところを捜査員に見つかり、強盗傷害の疑いで緊急逮捕

平成十二年 四月五日
 牧原晃和 午後五時ごろ、警視庁中央署に強盗傷害容疑で逮捕

平成十二年 四月八日
 経営者妻と従業員の遺体が発見される

平成十二年 四月十日
 川村幸也、野村哲也を強盗致傷容疑で逮捕

平成十二年 七月十八日
 名古屋地裁 川村幸也、野村哲也に対する初公判。川村と野村は起訴事実を認める

平成十四年 二月二十一日
 名古屋地裁 川村幸也、野村哲也に対する死刑判決

平成十五年 三月十二日
 名古屋高裁 川村幸也、野村哲也の控訴棄却 一審の死刑判決支持

平成十五年 六月十九日
 名古屋高裁 検察、弁護側双方の控訴を棄却、一審の名古屋地裁判決を支持。牧原晃和と同佐橋光希に無期懲役、白井秀樹と池原浩市に懲役十二年を言い渡す。池原は上告せず刑が確定

平成十六年 二月六日
 最高裁第三小法廷 強盗殺人や監禁などの罪に問われた佐橋光希、牧原晃和、白井秀樹三被告の上告を棄却。佐橋、牧原の両被告を無期懲役、白井を懲役十二年とした一、二審判決が確定

平成十八年 六月九日
 最高裁第二小法廷 川村幸也、野村哲也の上告棄却 死刑確定

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